山形ビエンナーレ開催エリアの山形市中心市街地は、「七日町」「十日町」など、かつて定期的に「市(いち)」がひらかれていた市日を町名として残し、戦後は百貨店が立ち並ぶなど物流・交換の拠点として賑わってきた場所です。
山形ビエンナーレ2016であらたにスタートさせた「市プロジェクト」(平成28年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業)では、古くから〈市の街〉として栄えてきた中心市街地の文化資源を、観光客や市民が「鑑賞」するだけでなく、意欲的に「消費」するエリアとして再活性化していくことを目指し、手仕事・農作物・アート・服・本の5つの市を立て、東北に根ざした活動をおこなうクリエイターや生産者を紹介していきます。
{市プロジェクト|2016年度プログラム}
http://biennale.tuad.ac.jp/2016/ichi
1)山姥市 [山の手仕事]
有志市民が山のセンダツから学んだ技で、土産のルーツとしての山苞(ヤマヅト)を制作・販売。ものづくりのこれからを見据え、山の手仕事を伝承・交易させる場としての市庭(いちば)をひらく。
2)山形衣市 iiti [オリジナルウェア]
山形の服飾産業を県内外に発信するため、ブランド4社のコラボレーションでコレクションを制作・発表する。モチーフは安部公房の小説『砂の女』。山形ビエンナーレでの展示終了後に、コレクションの受注・販売会も開催する。
3)芸術界隈 [アート・クラフト・パフォーマンス]
中山間地の廃校や、セルフリノベーションした元旅館などを拠点に活動するアーティストが集結し、七日町御殿堰の緑地に仮設の「芸術界隈」を出現させる。山形在住の気鋭のアーティストから絵画や陶器の作品が直接買えるアートの市。
4)ふうどの市 [野菜・果物・加工食品]
旬を押さえた山形の伝承野菜やブランド品種の販売と、地元レストランと連携したケータリングをおこなう他、農作物をつくる人/食べる人の幸福なつながりを考えるワークショップやトークイベントを開催。
5)本の市「ブックトープフェス」 [本・雑貨]
県立図書館を併設する遊学館で、朝から夜まで1日ロビーを借り切り「山形×本」を心ゆくまで楽しむ本のフェス「ブックトープフェス」を開催。本のマルシェやゲストによる多彩なワークショップ&トークで、街と人をつなぐ本の可能性を探る。
ファシリテーター:ナカムラクニオ(6次元)、飛田正浩(spoken words project代表)、三瀬夏之介(東北芸術工科大学教授)、アトツギ編集室、松本典子(山形食べる通信編集長)
空間設計:井上貴詞(建築家)
アドバイザリー:小板橋基希(株式会社アカオニ)、空閑理(d design travel 編集長)
プログラムコーディネーター:宮本武典(キュレーター/東北芸術工科大学准教授)
協力:佐藤繊維株式会社、米富繊維株式会社、OUTDOOR SHOP DECEMBER、森岡督行、空閑理、粕川ゆき、アルケッチァーノ、umui、halken LLP、ミサワクラス、工房森の月かげ、株式会社マルアール