開催概要

主催者ごあいさつ

誰もが元気になれる芸術祭に

photo:Kohei Shikama

山形ビエンナーレ総合プロデューサー
東北芸術工科大学学長 中山ダイスケ

現役医師である稲葉俊郎氏を新芸術監督に迎え、「山のかたち、いのちの形」と題して新たなシリーズが始まった山形ビエンナーレですが、前回の2020年は、新型コロナウィルス流行により多くの文化イベントが中止や延期となる中、「オンライン型」での開催を余儀なくされました。

しかし、この芸術祭の本来の姿を想い巡らすと、やはり多くのみなさまに初秋の山形を訪れていただき、市街地を散歩しながらアートの体験をしていただきたいと考えて、さまざまな社会環境の変化に対応できるように工夫を凝らして準備を進めています。

5回目を迎える今年の芸術祭では、山形市と本学が共同で整備を進めている「やまがたクリエイティブシティセンターQ1(旧山形まなび館)」を中心に、山形駅から文翔館を結ぶ動線上に多彩なプログラムを散りばめたいと思っています。そして、この2年間で失われかけた「人と人のつながり」や「心と身体の関係」などに焦点を当てることで、街に住む人も訪れる人も誰もが元気になり、街全体が明るくなるような芸術祭を目指したいと考えています。

ぜひ、山形ビエンナーレの趣旨にご賛同いただき、多数お越しいただければ幸甚に存じます。

芸術監督メッセージ

《いのちの混沌を越え いのちをつなぐ》
─いのちの灯を交歓し、開かれた想像力を

山形ビエンナーレ2022 芸術監督
稲葉俊郎

2020年から始まった疫病は、そう容易くは、おさまってくれません。
ウイルスに加え、人工的な情報の同時多発的な伝染により、生命界と人工界が入り混じって世界は混迷を深めています。

分断や分離が加速していくこの世界の中で、芸術や文化活動こそは、曖昧で不明瞭なやり方により、両極の世界をつなぎ、むすび、橋を架ける働きをしてきました。
魂が失われたのなら、深い井戸を掘って魂を取り戻しに行く必要があります。
魂が壊されたなら、いのちの混沌に飛び込み、新しい魂を受胎させ創造する必要があります。
いのちには死が内蔵されていますが、死を上回る生を創造し続けてきたことにこそ、いのちの流れが宇宙的な時間の中で連鎖し続けてきた、いのちの秘儀があります。

表面的にはつながれなくても、心の深い井戸を介して、横穴によりつながることができます。そうした深い井戸の鉱脈は、芸術を生み出す泉でもあります。
「いのちの混沌」の中で、わたしたちは開かれた想像力を持ち、闇の中でも一条の光が差し込むタイミングを見失わないように。いのちの混沌を越えて、いのちの灯を交歓し合う。差し出し合い、与えあう場こそが、新しい芸術祭という場になります。
いのちの深みを追求し体現して生きる表現者たちが集う場を山形に創造し、未来への灯台として芸術祭という光を灯したいと思います。それはこの世界の治癒行為になるでしょう。

プロフィール
1979年 熊本生まれ。医師・医学博士。
1997年 熊本県立熊本高校卒業。
2004年 東京大学医学部医学科卒業。
2014年 東京大学医学系研究科内科学大学院博士課程卒業(医学博士)。
2014年-2020年3月 東京大学医学部付属病院循環器内科助教
2020年4月 軽井沢病院 総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授(山形ビエンナーレ2020 芸術監督)
2021年1月 軽井沢病院 副院長
2022年4月 軽井沢病院 院長

メインビジュアル

アートディレクション・デザイン
小板橋基希
原始的な鼓動、いのちの形。
星のようでも、山のようでも、
動物のようでもあり、踊りのようでもある。

災いや困難を乗り越えつつある、狭間の時期に、
7つのプロジェクトそれぞれのいのちが躍動し、
世界を撹拌し、街や人々が元気になる願いを込めて。

参加アーティスト

順不同/個人、団体名、プロジェクト名等を含みます

いのちの学校/土と人
担当キュレーター=岩井天志
参加予定アーティスト=青葉市子(音楽家)、池上恵一(マッサージ芸術家)、市村隼人(サウンドアーティスト)、稲葉俊郎(医師/山形ビエンナーレ芸術監督)、上野雄次(花道家)、umui(料理人)、OLAibi(アーティスト)、川上謙(建築家)、橘田 優子(植物染色作家)、コウノリ(サンシャインジュース代表)、コムアイ(アーティスト)、鶴田真由(女優)、中山晃子(アーティスト)、成瀬正憲(山伏/採集者)、野村友里(eatrip主宰/料理人)、haruka nakamura(音楽家)、船越雅代(料理家)、ホアン・マヌエル・カストロ(バイオアーティスト)、マツーラユタカ(物書き料理家)、ミスミノリコ(暮らしの装飾家)、ヤマンドゥ・コスタ(ギタリスト)、R∞∞T LAB.(勝見淳平、瀬藤康嗣、マイケル・フランク)
グラフィックデザイン=梅木駿佑(アートディレクター)
現代山形考~藻が湖伝説~
担当キュレーター=三瀬夏之介
〈 文翔館議場ホール 〉
参加予定アーティスト=宮本晶朗(キュレーター)、阿部麻衣子(アシスタントキュレーター)、青野友哉(考古学者)、青野文昭(美術家)、青山夢(画家)、浅野友理子(画家)、井戸博章(彫刻家・保存修復家)、大山顕(写真家)、尾花賢一+石倉敏明(美術家+人類学者)、金子朋樹(日本画家)、狩野宏明(画家)、鹿野研究室(鹿野護・齋藤光佑)、菊地聡子(銀粘土作家)、菊池聡太朗(美術家)、菊地翼(映像作家)、来田広大+土田翔(美術家)、君島彩子(宗教学者・アーティスト)、現代風神雷神考(修復コレクティブ)、草彅裕(写真家)、ゲッコーパレード(演劇集団)、是恒さくら(美術家)、後藤拓朗(画家)、志村直愛(建築史家)、髙橋源吉(洋画家)、東北画は可能か?(コレクティブ)、東北大学五十嵐太郎研究室、長瀞想画、株式会社ニコン、西除闇(仏師)、濱定史+加藤建築、番場三雄(日本画家)、深井聡一郎(彫刻家)、歩火(移動式描画集団)、水野健一郎(アーティスト)+アンドスリー(映像チーム、花田真由子、先﨑大朗、アリマミユキ、千々松昂将)、三瀬夏之介(美術家)、ムカサリ絵馬、藻が湖新聞社(小金沢智、石原葉)、吉賀伸(彫刻家)
会場構成=貝沼泉実
デザイン=アイハラケンジ
〈 山形県立図書館 〉
参加予定アーティスト=岡崎裕美子(歌人)、ナオヤ(イラストレーター)
〈 BOTA theater 〉
参加予定アーティスト=朝日辿(美術家)、アメフラシ(コレクティブ)、菊地聡子(銀粘土作家)
〈 長門屋ひなた蔵・塗蔵 〉
参加予定アーティスト=浅野友理子(画家)、草彅裕(写真家)、内藤正敏(写真家)
〈 山形美術館 〉
参加予定アーティスト=東北画は可能か?(コレクティブ)、長瀞想画

(令和4年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業)
現代茶経 第1章(Contemporary Tea Sutra - Chapter 1)/
山の上の陶器市
担当キュレーター=深井聡一郎
メインビジュアル(現代茶経)=松崎綾子(ペインター)
ロゴ制作(現代茶経)=アメフラシ(コレクティブ)
会場設計・施工(現代茶経)=濱定史(建築家)+加藤建築
表具制作(現代茶経)=杉山恵助(表具師・文化財保存修復)
作品制作(現代茶経)=平田尚也(美術家)、大原光一(陶芸家)、鈴木美雲(陶芸家)、田久保静香(陶芸家)、芳賀龍一(陶芸家)坂井直樹(金工作家・美術科工芸コース)など
参加予定アーティスト『現代茶経』=望月重太朗(アートディレクター)、永岡大輔(美術家)、井口和泉(料理家)、田久保静香(陶芸家)、村上滋郎(アーティスト・ビール醸造家・美術科洋画コース)
参加予定アーティスト『山の上の陶器市』=【3日(土)4日(日)】 田村一(陶芸家)、樽見浩(陶芸家)、宮野さとみ(陶芸家)、大上裕樹(陶芸家)深井ゼミ学生有志、工芸コース学生有志、テキスタイルコース学生有志など 【24日(土)25日(日)】 うつわやみたす(陶芸家)、鈴木美雲(陶芸家)、中村恵美(陶芸家)、堀江遼子(陶芸家)深井ゼミ学生有志、工芸コース学生有志、テキスタイルコース学生有志、KIRUE(北村啓人)など
販売予定アーティスト=安達健(陶芸家)、生島賢(ガラス作家)、大原光一(陶芸家)、栢野紀文(陶芸家)、小泉敦信(陶芸家)、後藤有美(陶芸家)、坂井直樹(金工作家・本学准教授)、清水真由美(陶芸家)、鈴木美雲(陶芸家)、高橋奈己(陶芸家)、田久保静香(陶芸家)、田村一(陶芸家)、樽見浩(陶芸家)、芳賀龍一(陶芸家)、長谷川奈津(陶芸家)、浜坂尚子(陶芸家)、深冨陶器(新人)、山野辺彩(陶芸家)、マルヤマウエア(陶芸家)など
スタジオアーティスト=近藤七彩(金工作家)、斎藤志公(本学大学院)、菊地那奈(本学学生)、林谷美香(本学学生)
屋根のない美術館 ―いのちの光―
キュレーター=青山ひろゆき
参加予定アーティスト=増田尚紀(鋳物作家)、青野文昭(彫刻家)、吉田重信(現代美術家)、大脇理智(メディアアーティスト)、タノタイガ(美術家)、君平(美術家)、下小川毅志(ビデオペインティング)、来田広大(美術家)、藤原泰佑(画家)、ミシオ(美術家)、吉村尚子(美術家)、青木みのり(画家)、屋代敏博(チームエンギニア主宰・本学准教授)、土田 翔(絵描き)、関本欣哉(Gallery TURNAROUND 代表)、中村桂子(KODAMA PRESS主宰/本学版画コース教員)、結城泰介(KODAMA PRESS主宰/本学版画コース教員)
グラフィックデザイン=土澤潮
まちのおくゆき
担当キュレーター=アイハラケンジ
参加予定アーティスト=砂連尾理(振付家/ダンサー)、加藤由美(舞踊家/舞踊振付家)、兼子京子(ダンサー:心体表現)、菊地将晃(ダンサー)、「まちのおくゆき ─からだのひろがりダンスワークショップ」市民参加者、武田和恵(福祉とアートのコーディネーター)、岩中可南子(アートコーディネーター/編集者)、福原悠介(映像作家)、さえ(分身ロボットOriHimeパイロット)、伊藤亜紗(美学者/東京工業大学教授)、吉田勝信(デザイナー)、瀬尾夏美(アーティスト)、滝口克典(研究者:市民社会論)、イシザワエリ(アートワークショップデザイナー/東北芸術工科大学専任講師)、視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ(ワークショップ企画・運営)、ほか
企画協力=やまがたアートサポートセンターら・ら・ら
タイトルグラフィック=吉田勝信、ほか
(令和4年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業)
美術の學校 ─つくる・つかう・あそぶ・かんがえる
担当キュレーター=安達大悟
参加予定アーティスト=佐藤香(美術家)、栂瀬真(ニットクリエイター)、藤原麻里菜(コンテンツクリエーター)、藤田謙(ジュエリーアーティスト)、坂井直樹(金属造形作家)、佐々木理一(陶芸家)、松村泰三(メディアアーティスト)、松本由衣(漆芸作家)
ワークショップコーディネート=石沢恵理
デザイン=杉の下意匠室
市民講師=金沢弥英子、山内陽子、宮本那津、諸岡夏絵、ジン・ヒジョン、安達爽良
※市民講師とは、カルチュラル・プラットフォーム・ビルダー人材育成講座「アートの玄関」にて、受講者としてワークショップ企画を立案した方になります。
(令和4年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業)
PINKPUBLIC PROJECT「うごく、かわる、変動計画」
担当キュレーター=原高史
参加予定アーティスト=SEI(ダンサー)、MOGA(ダンサー)、福助(ダンサー)、Himawari(ダンサー)、ちゃんなつ(ダンサー)、TARO(ダンサー)、Mayu(ダンサー)、Yukke(ダンサー)、FRIDAY(ダンサー)、K@TTSU(ダンサー)、MIURA MAKOTO(ビデオグラファー)、原高史(現代アーティスト/本学教授)、飛田正浩(ファッションデザイナー/本学教授)、望月孝(フォトグラファー/本学教授)

開催概要

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2022

テーマ
山のかたち、いのちの形《いのちの混沌を越え いのちをつなぐ》
開催地・会場
山形県山形市中心市街地
山形県郷土館「文翔館」、やまがたクリエイティブシティセンターQ1(山形市立第一小学校旧校舎)、やまぎん県民ホール、市街地商店街、リノベーション物件等
会期
2022年9月3日(土)・4日(日)・9日(金)・10日(土)・11日(日)・16日(金)・17日(土)・18日(日)・19日(月祝)・23日(金祝)・24日(土)・25(日)
※一部の会場を除き、金・土・日・祝日のみ12日間の開催
※会期中に視聴可能なオンラインプログラムや、メディアミックスプログラムも予定
参加料
無料/一部有料プログラムあり
主催
東北芸術工科大学
後援
山形県、山形市、山形県教育委員会、山形市教育委員会
令和4年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業
助成
公益財団法人 朝日新聞文化財団、公益財団法人 花王芸術・科学財団、公益財団法人 カメイ社会教育振興財団(仙台市)、公益財団法人 野村財団、公益財団法人 文化財保護・芸術研究助成財団、公益財団法人 三菱UFJ信託地域文化財団
協賛
愛和建設株式会社、株式会社きんでん東北支社、株式会社山形銀行、株式会社カキザキ山形国際ホテル、羽陽建設株式会社、株式会社金入、菱機工業株式会社仙台支店、株式会社旅館古窯、株式会社ジョイン、有限会社東北環境総合サービス、富士フィルムBI山形株式会社、山形パナソニック株式会社、株式会社山形ビルサービス、株式会社山本組、うるしやまタクシー株式会社、株式会社オーイシ、株式会社オカムラ、オビサン株式会社、株式会社KDDIエボルバ、株式会社財務サポート、医療法人社団清永会、株式会社丹野園茶舗、株式会社塚田会計事務所、株式会社トヨタレンタリース山形、日本地下水開発株式会社、ネッツトヨタ山形株式会社、株式会社羽田設計事務所、株式会社萬国屋、ファースト興産株式会社、富士フィルムビジネスイノベーションジャパン株式会社、株式会社ホリエ、株式会社本間利雄設計事務所、丸善雄松堂株式会社仙台支店、株式会社モス山形、山形いすゞ自動車株式会社、山形空港ビル株式会社、株式会社山形県観光物産会館、山形市農業協同組合、株式会社山形丸魚、株式会社山南自動車、リコージャパン株式会社マーケティング本部山形支社
寄附
株式会社IHI
特別協力
公益財団法人山形県生涯学習文化財団、山形県総合文化芸術館指定管理者みんぐるやまがた、やまがたクリエイティブシティセンターQ1、大手門通り すずらん商店街振興組合
総合プロデューサー
中山ダイスケ (東北芸術工科大学 学長)
芸術監督
稲葉俊郎(医師・医学博士/軽井沢病院院長)
ディレクター/キュレーター
三瀬夏之介/岩井天志/原高史/深井聡一郎/青山ひろゆき/アイハラケンジ/安達大悟 ほか
アートディレクター
小板橋基希(株式会社アカオニ)
事務局
東北芸術工科大学 地域連携推進課