2020年、でたらめな夏が通り過ぎていく。
コンクリートの上で潰れ干からびているバッタ。窓の外でがなり立てていた蝉は、もう数えられるほどに減った。
駅前もずいぶん変わったよ。新しく立ったビルのガラスに指す午後の光、反射に目を細める。工事の音。二の腕の日焼けの跡。昨日、安倍さんが首相が辞める会見をした。胸に残った気持ちは風邪のひき始めのような小さな痛みだった。整理された公園、あのホームレスのじいさんどこに消えたの?
でもきっと何年も時間が経てばこの気持ちだって忘れてしまうだろう。
それでいい?
それでいい時もある。
わたしたちに備わった「忘れる」という能力はわたしたちを救いもするし、同時に同じ過ちを繰り返させる。
記憶。
でもどうしても消えない記憶もある。消えない記憶はタトゥのように体に刻まれ、わたしたちは日々をめくり、すり傷を増やし、失敗も繰り返し、忘れたり覚えていたり、それぞれの暮らしを続けていく。
生きるということはその記憶の一つ一つに敬意を払うことではないか。ちゃんとお別れが言えて忘れることができたら、そう思うことがある。
わたしは今回、記憶をおくろう思う。灯籠流しの川をわたしが音楽で作り、募集したどうしても消えない記憶や胸に刺さって抜けない言葉を送り火のように黄泉に送れたらと思う。
今年は新型コロナウィルスの影響で盆踊りもなかった。わたしは、記憶という見えない亡霊たちと銀河で一番静かな盆踊りをしようと思う。
あなたのどうしても消えない記憶や胸に刺さって抜けない言葉を300字以内でおくってください。
その言葉を元にマヒトゥ・ザ・ピーポーが作品発表を行います。
・300字以内のテキストをお送りください。
・応募数が多い場合は抽選で50名分の言葉を使用させていただきます。
・作品に使用する言葉は全文ではなく、抜粋させていただきます。文章や単語など長さは様々となりますことをご了承ください。
・選ばれた方は山形ビエンナーレ2020のホームページで投稿時のお名前(ペンネーム)を記載させていただきます。
・締め切りは9月9日(水)23:59まで。
※ご応募は締め切りました。
言葉よ さようなら で使用させていただく言葉は以下の43名になりました。多数のご応募ありがとうございました。
めぐ、でるー、HONAMI HAKII、ゆり、けんちくし、ぽんぽんぺいん、春樹、Mom2021、マメ、Oreo、タカダ、HP、けしこ、さ子、うつむきgirl、はな、K花、ニイ子、小田雄大、暑すぎ、北野さくら、くま、グランゲ、Su Yolu、オオタ、ゆりか、なつか、うさみみ、Saori、あっこちゃん、よーよー、あおぞら、まれ、渕野千穂、巻尾と差尾、赤痰、マルコ ニャスクロ、NARI、世古口 敦嗣、エツ、Ari、KUS、ナオトゥ(計43名)
2009年 バンドGEZANを大阪にて結成。作詞作曲をおこないボーカルとして音楽活動開始。
うたを軸にしたソロでの活動の他に、青葉市子とのNUUAMMとして複数のアルバムを制作。
映画の劇伴やCM音楽も手がけ、また音楽以外の分野では国内外のアーティストを自身のレーベル十三月でリリースや、ものの価値を再考する野外フェス、全感覚祭を主催。また中国の写真家Ren Hangのモデルをつとめたりと、独自のレイヤーで時代をまたぎ、自由なスタンスでカルチャーをつくっている。2019年ははじめての小説、銀河で一番静かな革命を出版。GEZANのドキュメンタリー映画 Tribe Called DiscordがSPACE SHOWER FILM配給で全国上映開始。バンドとしてはFUJI ROCK FESTIVALのWHITE STAGEに出演。2020年1月5th ALBUM 狂KLUEをリリース。