田久保静香

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10年の器・10年の菓子
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3年の前期までずっと技術習得課題が続き、初めての自由課題で佐藤屋さんとの企画がありました。初めての「自由」に戸惑う反面楽しくもあり、何より大変だったのは茶会で使用する分、数をたくさん用意しなければならない事でした。思い返せばあの頃から私は手が遅く、みんなが10~20セット作る中、私はたったの3セットしか作れませんでした。

お茶全般は好きという自覚が無いほど普通にすごく好きでしたが、なかでも紅茶は格別良いコレクションを持っていたのもあって、抹茶が入る器であればいっかな、と軽い気持ちでカップ&ソーサーを作ったのが全ての始まりでした。少し浮気をしたこともありましたが、あれからカップ&ソーサーしか作っていません。大学院に入ってからお茶史を学んだ時に、茶道の影響下で紅茶が誕生した事を知り、あの時の企画が私の中で一層特別なものとなりました。それも、カチコチな伝統に縛られない慎太郎さんが、とても気さくに学生である私たちと一緒に楽しいを共有して、追求するお人柄あってこその起点だったと感謝しています。

今回の企画ではそんな思い出にちなんでテーマを「起源」としました。私が素材として扱う磁器「Porcelain」(英)の語源が「Porcella」(伊)=「タカラガイ」から発生したとされています。その意味は白い貝肌のような美しさや、タカラガイが貨幣であった歴史、東洋磁器への憧れなど、ロマン溢れる意味合いが多分に含まれていて、カップ&ソーサーには貝殻をモチーフとした形がよく用いられています。歴史や様式をどう解釈するのか、自身の作品としてどう成立させるのか、あの頃とは違った作家としての向き合い方をしながらも、器にお菓子が乗ったあの時の高揚感を思い出しながら、少し新しい事にチャレンジしてみました。

  • 田久保静香

    〈経歴〉
    1988 千葉県佐倉市生まれ
    2015 東北芸術工科大学 芸術学部美術科工芸コース 卒業/卒業・修了制作展 最優秀賞受賞/森司賞受賞
    2017 東北芸術工科大学芸術文化専攻工芸研究領域 深井聡一郎研究室 修了 /修了制作展 大学院優秀賞受賞
    東北芸術工科大学紀要第24号「制作記録―現代に合う付加価値を与える為の研究」
     
     
    〈企画展〉
    2015 「 NINE COLORS IX 」 (西武渋谷店)
    2016 「デコ★装飾♥DECO!」 (日本橋三越)、「アートワンダーランド」(関西高輪会)、「シブヤスタイルvol.10」(西武渋谷店)
    2017 「すきなかたち展」(ギャラリー数奇)
    2019 「内包するカタチ」(日本橋髙島屋 / 美術工芸サロン)、「わかもん展」(館・游彩)
    2020 「金・銀・銅の世界」 (ギャラリー数寄)
     
    〈個展〉
    2016 「田久保静香展」(日本橋高島屋/アートアベニュー)
    2019 「田久保静香 作陶展 ~ Jewel cup ~ 」(現代陶芸サロン桃青/大丸心斎橋店)、「田久保静香展」(目黒陶芸館)、「decolative illusio – 装飾的錬金術」(COYAMA / 神奈川)
     
    【雑誌】
    2019 「炎芸術」 No.138 期待の新人作家特集掲載

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