鈴木美雲

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10年の器・10年の菓子
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茶器・菓子器の授業は、技術習得の授業と違い突飛なアイディアも求められているようで、振り返ってみて単純に苦手な内容の授業だったんだと思いました。その反面、器という制約がある上で動けるのは実はやりやすい課題だったのだろうな、とも思いました。

私は菓子器で、それまで作っていた流れで魚を彫ったスプーンを作りました。単に器の形を借りて彫り込みを入れる物を作る事が殆どでしたが、器と魚が一体になった形に収まる事で表面上の飾りではなく器として物を作ることが出来ました。お菓子が乗って使われる姿になった事で、更に器の役目が明確なものになり、この課題で作ってよかったのだと後から思いました。茶器の方では模刻からの流れで、素朴でかっこよい器を作りたくてオリジナルも普通の器を作りました。この時に素朴ってカッコいいのではないかと思い始めたのと、蹴轆轤楽しいってなったので模刻から通してこの課題は自分としては印象深い授業でした。当時どちらも面白みがないものを作り、この課題では失敗だったのではないかと後から思っていたのを覚えていますが、今となってはこれでよかったと思えます。

今回の器は、以前制作したものを改めて捉えたいと思い、制作しました。以前制作した大きい茶碗は、展示という事が引っかかり作品を否定する事で説明を成り立たせていたような気がします。自分の中で器を考えると、どの方向からでも最終的には使われるものが良い器という事に纏まりました。今回和菓子が乗る事(使う事)が決まっていたので、展示に対することでも、自分の思う器にも当てはめられると思い、制作に至りました。

  • 鈴木美雲

    1993年千葉県生まれ。山形県在住。2018年東北芸術工科大学卒業。在学中にアジア現代陶芸展(愛知県陶磁美術館)、ジョウモンアート展(東北芸術工科大学)、3331ART FAIR2018(アーツ千代田3331)に参加。2018年に、現代陶芸展(西武渋谷店)、二人展、ArtLinks(fragile)、漆のお椀と一汁一菜のうつわ展(qnulpAA)、2019年煎茶と花-九人展(箒星)参加。
    近代に至るまで工芸、美術が曖昧ながらも括られていく中で、器も目に見えて分かる点でも変化があり、影響が大きかったと思います。私はその中でも過剰装飾とサイズ展開に違和感を抱いた事があったので、器を道具、作業工程、大きさ、素材、と器を形にする上で当たり前の根本を探りながら形にするよう制作しています。素材を探る事から表現の器に移行したと思える桃山時代の国焼と他国の焼き物(主に李朝)を参考にし、最小限に抑える事を意識しています。
    Instagram:suzuki._.mikumo

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