「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」では、ビエンナーレ参加アーティストであるファッションブランドspoken words project(主宰:飛田正浩)との協同プロジェクトとして、山形県内のアパレルメーカーとともに、安部公房の小説「砂の女」に登場する女をイメージした、服・ジュエリー・香水・バッグなどのコレクションを発表します。
山形ビエンナーレ閉幕後に開催する本企画は、芸術祭で実際に展示されたコレクション群に、さらなる「砂の女」のアイテムを加えた展示のほか、販売と受注会も併せて行います。
10月1日(土)には飛田正浩(spoken words project)、森岡督行(森岡書店店主)、宮本武典(ビエンナーレプログラムディレクター)の三者によるアーティストトークも開催します。会場は、とんがりビル1F「KUGURU」です。是非、足をお運びください。
{コレクション「砂の女」 展示会 }
期間:2016年9月30日(金)~10月2日(日)
時間:11:00~20:00(3日間とも作家在廊)
会場:KUGURU(山形市七日町2丁目7-23 とんがりビル1階)
{アーティストトーク}
開催日:2016年10月1日(土)
時間:14:00~16:30
トーク:飛田正浩(spoken words project)、森岡督行(森岡書店)、宮本武典(キュレーター・東北芸術工科大学准教授)
会場:KUGURU
日本海側の山形県酒田市はかつて「砂潟」と呼ばれ、飛砂に埋もれそうな集落の写真を偶然目にした小説家の安部公房は、『砂の女』(1962年)の取材のため同地を訪れたという。小説『砂の女』では、休暇を利用して新種の昆虫を捕まえにきた男が、蟻地獄のような巨大な砂の穴の底にある、一軒の崩れかけた家にとらわれ、そこで暮らす女との奇妙な共同生活をはじめる。自然の脅威、止まらぬ人口流出、農山漁村における共同体の崩壊、都市と地方でひろがる格差、増え続け朽ちていく空き家たち。家とは?家族とは?愛とは? 幻想でも寓話でもなく、半世紀前に書かれたはずの『砂の女』の写実は、2016年現在の私たちが直面する現実を、鮮烈に描き出してもいる。
飛田正浩が主宰するファッションブランドspoken words projectは、「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」のプロジェクトとして、山形県内のアパレルメーカーとともに、この物語に登場する女をイメージした、服・ジュエリー・香水・バッグなど多岐にわたるコレクションを制作した。宿命を受け入れ共同体と生きる女、逃れようともがく男が最後にした選択は、戦後とはまた異なるさめたリアリズムを帯びて、いま再読する一人一人の胸に迫ってくるはずだ。「朗読する・歌う」をブランド名に冠したspoken words projectは、2016年現在、どんな「砂の女」を物語るのだろうか。
spoken words project(スポークン・ワーズ・プロジェクト)
ファッションブランド。多摩美術大学染織デザイン科卒業の飛田正浩を代表とするファッションブランド。在学中より様々な表現活動を「spoken words project」として行う。卒業を機に「spoken words project」をファッションブランドに改め、1998年東京コレクションに初参加。手作業を活かした染めやプリントを施した服づくりに定評があり、最近ではアーティストのライブ衣装や舞台美術、テキスタイルデザインも手掛け、ファッションの領域を超えて活動中。http://spokenwordsproject.com
森岡督行(もりおか・よしゆき)
「森岡書店」店主。1974年山形県寒河江市生まれ。「1冊の本を売る書店」がテーマの株式会社森岡書店代表。著書に『BOOKS ON JAPAN 1931-1972』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『荒野の古本屋』(晶文社)、『本と店主』(誠文堂新光社)等がある。『芸術新潮』や『花椿』(資生堂)を始めとするメディアにて連載・執筆を行っている。『工芸青花』(新潮社)編集委員。森岡書店のビジュアル・デザインが、ドイツのIFデザイン賞とイギリスのD&AD賞を受賞。
主催:東北芸術工科大学
企画:宮本武典(キュレーター/東北芸術工科大学准教授)
企画協力:佐藤繊維株式会社、米富繊維株式会社、OUTDOOR SHOP DECEMBER、株式会社マルアール、akaoni
助成:平成28年度文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業(市プロジェクト「山形衣市 iiti」
とんがりビルホームページ http://www.tongari-bldg.com/617