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2/8-2/18 山フーズの「ゆらぎのレシピ」展を開催

 

東北芸術工科大学の「市プロジェクト」は、人口減少が進む地方都市で、ものづくり中心の暮らしを成り立たせていくための新しいつくり方・売り方・つながる場を、ゲストクリエイターと地元のつくり手がともに考え、実践していくアートマネジメント人材育成プログラムです。(市プロジェクトWEBサイト

 

本企画では、アート制作の経験を生かしながら「食とそのまわり」で活躍する「山フーズ」の小桧山聡子さんが、最上郡真室川町の伝承野菜農家を拠点に、豊かな自然とともに生きる人々の食をめぐる生命の現場を取材。その体験の「ゆらぎ」をもとに制作したレシピを、写真・映像・テキストで表現します。

 

 

市プロジェクト・ウィークエンド〔第3期〕

山フーズの「ゆらぎのレシピ」展

 

2018年2月8日[木]〜18日[日]
12:00~19:00(入場無料・2/13[火]休)

 

会場:とんがりビル SUANA(3F)& nitaki(1F)
主催:東北芸術工科大学

 

 

「食べる身体 喰えない風景」 小桧山聡子

 

「たべる」という行為について、いちいち考えなくても1日3食は過ぎてゆく。 すべてが準備OKの状態で差し出される現代では、それらを選んで口に入れるだけで咀嚼は完了してしまう。カロリー計算とか、どこどこ産とか、安くて早いとか、情報は過剰に取り入れながら、どこかなにかが奥の方でうずくのを、見なかったことにして生活している。

 

まるでコピー&ペーストの連続で建てられていく新興住宅やチェーン店、どこも同じ風景の駅ビルに囲まれながら、言いようのない不安に襲われるのはなぜだろう。 それは、その風景が「腐る」気配がしないからなのではないか。ちゃんと腐って朽ちていく、その実感を肌で感じられないから、自分も土に還れないような言いようのない恐怖にゆっくりと締め付けられていくのではないか。私たちはいつもどこかで消化不良だ。

 

私はずっと、食べる頭ばかり肥大化して、どこか身体が定まらない感覚で生活してきた。 どうにか身体を取り戻そうと、頭ではなく身体でたべる様々な実験を試みた。あたりまえになっているやり方を一回とっぱらって、五感、六感つかいながら、自分の内臓を感じ、生々しい「たべる」という行為と純粋に向き合いたいと願って、ひとり実験してみたり、ときに外に向けて提案してきた。 食べている対象の生き物はもちろんのこと、食べている私たち自身もナマモノなので、その身体には体調もあり感情もあり揺らいでいて、答えは常に同じではない。「おいしい」ってなんだろうとか「食べるという行為」についてなどその都度考えさせられるあたらしい発見があった。

 

そんな中、様々な土地を訪れたり、環境に身を置く機会に恵まれるようになってきた。 山形もそのひとつだ。 「食べもの」だったものたちが、生きている、ところを目の当たりにすることになる。 土から、ぬっと頭を突き出してくる、その得体の知れぬエネルギーに足下がぐらりゆらぐ。 そういうことは、分かっていたつもりだった、知っているはずだったのに、圧倒的ななにかが身体の中で呼応している。「たべる」にまつわる身体的なもやもやは、一気に高度を上げて、身体を取り巻く自然までもを視野に入れて感じられるようになっていった。

 

そういう環境に身を置いているとだんだんと、自分の輪郭が曖昧になっていくのを感じる。食べている自分の内側と、外側にある生命体との関係。内と外とに線を引く輪郭の定義が崩壊する危うさと心地よさ。おっかなびっくり、でも確実に目を見開いて、この山形真室川での2年間に及ぶプロジェクトでは、そこに触れてみたいと思っている。

 

うちのめされたり、恥ずかしくなったり、絶叫したり、歓喜したり、トーキョーのもやし野郎(私)がどれだけ正直にそこに立っている自分を晒せるか、その回路を開け放っておく事が最大の準備なのだろうと思う。ゆらぎの先に、何を感じられるだろう。

 

兎に角、自分に嘘はつかぬように。

 

(2017年5月/真室川にて)

 

 

 

◎トークショー
山フーズの「ゆらぎの食卓」
日時:2月11日[日]15:00〜16:30(要申込/参加費1,500円*ドリンクと軽食付/定員25名)
※14:30〜16:30と記載していましたが誤りでした

会場:とんがりビルnitaki(1F)

解説:小桧山聡子(山フーズ)
志鎌康平(写真家)
佐藤春樹(伝承野菜農家「森の家」)
高橋伸一(「工房ストロー」主宰)
司会:宮本武典(キュレーター)

 

申し込みはお電話か申込フォームで承ります。
フォームの場合:件名を「ゆらぎの食卓」とし、お名前・ご連絡先等の必要事項と、同伴者がある場合は内容欄に人数・お名前を明記のうえ送信してください。→申込フォーム
お電話:023-627-2091 山形ビエンナーレ事務局(東北芸術工科大学地域連携推進課/担当=樋口・鈴木)

 

Photo by Kohei Shikama

小桧山聡子(こびやま・さとこ)
「山フーズ」主宰。1980年東京生まれ。多摩美術大学卒業。素材としての勢い、料理としての勢い、美味しさ、を大切にしながら ”食べる” をカラダ全部で体感できるような仕掛けのあるケータリングやイベント企画、ワークショップ、レシピ提供、撮影コーディネート、執筆など多様な角度から「食とそのまわり」の考察、提案を行っている。

 

◎同時開催

座談会「東北芸術工科大学が考える地域とアートの展望」
2月10日[土]11:00~12:30(申込不要)/とんがりビル KUGURU(1F)

荒井良二氏が芸術監督を務める「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018」(本年9月開催)の開催テーマとメインビジュアルを発表するとともに、美術大学を拠点にアートとデザインが地域社会に果たせる役割とその可能性について語り合います。

登壇:荒井良二(山形ビエンナーレ芸術監督)、根岸吉太郎(映画監督/本学学長兼理事長)、中山ダイスケ(アーティスト/本学デザイン工学部長)、三瀬夏之介(日本画家/芸術工学研究科長)、宮本武典(山形ビエンナーレプログラムディレクター)

 

荒井良二と8組の家族による展覧会「山のヨーナ」
2月8日[木]→18日[日]/とんがりビルKUGURU(1F)

絵本作家・荒井良二さんの連続ワークショップに参加した8組の家族が、架空の少女「ヨーナ」とともに、立体絵本のような一軒の土産店をひらきます。

 

 

主催:東北芸術工科大学
助成:平成29年度文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業(市プロジェクト2017)
写真と映像:志鎌康平(志鎌康平写真事務所【六】)
食材コーディネート:伝承野菜農家「森の家」
コーディネート:宮本武典(東北芸術工科大学准教授・主任学芸員)
協力:阿部衣利子/三浦友加/小野寺奈央/佐藤萌以/梅木駿佑(UMEKI DESIGN STUDIO)/TIMBER COURT/後藤ノブ(akaoni)/工房ストロー/nitaki/株式会社マルアール
会場:山形県山形市七日町2-7-23 とんがりビル
アクセス:山形駅からバスで七日町バス停まで約10分、バス停から徒歩で約4分。駐車場はありません。周囲の有料駐車場をご利用ください。

お問い合わせ:
山形ビエンナーレ事務局(東北芸術工科大学地域連携推進課)
〒990-9530 山形県山形市上桜田3-4-5
TEL:023-627-2091(担当=樋口・鈴木)
→ お問い合わせフォーム

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