東北芸術工科大学美術科工芸コースと乃し梅本舗佐藤屋は、学生たちが制作した器に新しい和菓子を創作する共同プロジェクト(演習)を、2011年度より行ってきました。今年で10周年となる節目に、この演習を受講し、その後プロとして活動を始めた卒業生たちの現在の仕事に、乃し梅本舗佐藤屋の佐藤慎太郎氏が新しい和菓子で挑みます。ここから生まれた和菓子のうちいくつかは実際に商品化され、地元だけでなく様々な地域の人に愛される銘菓となっています。同様にこの経験は陶芸家として育った卒業生たちにとって、現在の活動に影響を与えたことでしょう。
プログラムとしては、web上での展示、10年を振り返るトーク、参加作家の器を販売します。また、美術界の陶芸通である2人のアーティストと佐藤慎太郎氏が共に、作品を紹介する番組「ビエンナーレショップチャンネル」をLIVE配信。なお、番組のオープニングムービーは、安野太郎氏と平田尚也氏が制作、撮影用スタジオセットは濱定史氏が設計します。
器と菓子という密接な関係をweb展示で楽しんでいただき、その作者の作る器と今回の企画のために作られた和菓子を併せて購入することで、ご自宅でもこの企画を楽しんでいただけることと思います。
深井聡一郎
10年の器・10年の菓子のタイトルの通り、その時々の学生の器に、それぞれの為の菓子を作り、盛り付けての展示をして10年。今回は、その後作家となった、その時々の学生だった皆の器に菓子を盛るという事で、かなり緊張しているし、同時に楽しみで仕方ない。
今回心掛けたのは、それぞれの作家が今何を考えて、どんな器を作ろうかとしていることを尊重し、それを盛る菓子の姿や銘によって引き立てること。併せて、それぞれの作家と自分の関係性や過ごした時間なども菓子に込めていくことである。通常の器と菓子であれば、見た目として面白いものであれば良いが、それでは自分と彼らが組む意味は無くなってしまうと思う。以前に菓子を作った時のエピソードや思い出。その後にやりとりをした中で感じた事など、この10年という「時間」も含めた器と菓子の関係性を盛り込めたらきっと、器と和菓子の見せ方の新しい側面を生み出せるのではないかと思っている。
ご覧になる方には是非、器と菓子が組み合わさった見た目の面白さだけでなく、意匠や銘や色に込めた意味の部分も楽しんでいただけたらと切に願う。直接的な視覚だけでなく、情感に訴える菓子が少しでもあったら、和菓子職人としてこれ以上に幸せな事は無い。
佐藤屋 八代目 佐藤慎太郎
担当キュレーター=深井聡一郎
会場設計=濱定史、藤田謙、坂井直樹、荒達宏
ショップチャンネルオープニング映像制作=平田尚也、安野太郎
タイトルグラフィック等=アイハラケンジ
配信拠点=東北芸術工科大学7Fギャラリー
展開メディア=オンデマンド配信、ライブ配信、ネット販売
氏家昂大(陶芸家)、後関裕士(陶芸家)、後藤有美(陶芸家)、佐藤慎太郎(乃し梅本舗佐藤屋)、佐藤悠生(陶芸家)、鈴木美雲(陶芸家)、高妻留美子(陶芸家)、田久保静香(陶芸家)、中﨑透(美術家)、野田夏実(陶芸家)、濱定史(建築家)、平田尚也(美術家)、深井聡一郎(彫刻家)、宮野さとみ(陶芸家)、安野太郎(コンポーザー)、山増ちひろ(陶芸家)