いのちの学校

2020年9月に「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020」をやる意義はなんだろうか。

わたしたちは、生きることを自由に追求する場が必要である。
自分自身が他者に侵されたり奪われたり支配されたりしないように、
自分が自分を守りながら、自分の全体性を保ちながら、
生きていくことを自由に追求する場が必要である。
芸術は、そうして保護され、それでいて自由な地を守り続けてきた聖地ではなかっただろうか。

2020年の新型コロナウイルス流行を契機に、社会は大きく変わる。もう元には戻れない。

どんな困難な状況の中でも、生き抜いていく力が求められている。
そして、これまでの常識を一度忘れ、
まったく新しい考えでこれからの時代を生きていくことも、今求められている。

わたしたちには「経済力」以上に、「生命力」や「共感力」といった「力」こそが、
これから必要とされる「力」となり、そうした力を分け合い、共有する場が芸術祭という場になる。

全体性を取り戻すこと。文化や芸術の基盤を支えること。
そもそも、自分は何によって支えられているのか。

たとえば画家であれば、画家と作品だけがクローズアップされるのが従来の芸術祭であった。
ただ、画家が絵を描く、この単純な行為にも色々なプロセスがある。
無意識のイメージを受け取る場所、イメージを活性化する場所、立ち寄る喫茶店や飲食店、出会う人、
住む場所、使う筆や絵の具、紙やキャンパスや素材、好きな画材屋さん、その画材屋で働く人たち・・・。
そうしたものはすべてひとつながりになっていて、そうしたすべてが創造物と表現者を支えている。
つまり、社会基盤としての文化・芸術は、単にアーティストひとりを支える、アート作品を支える、
ということだけではなく、そうした文化の全体性を支える事でもある。

従来の芸術祭のように、アーティスト単体と作品単体だけで終わるのではなく、
創作に関わる全体性を感じられる場。

なぜその絵具なのか、なぜその楽器なのか。
そこに必然性があり愛があるのならば、その思いを共に深く共有することこそが、
文化を支える人たちの「いのち」も支える。

個人の創造物、魂に関わる愛のある深く強い温かいつながりをこそ、この芸術祭では共有したい。
表に出てこない裏方の人たちも含めた心に流れる全体性こそが、創造作品の質ではないだろうか。

コロナ禍の中、山形ビエンナーレ2020はそうした思いを共有するために、リアルな場ではなく、
インターネット経由でのオンライン開催により行うことになった。

ネット空間には、すでに膨大な情報がある。
だからこそ、2020年の今という瞬間にしか出てこない思い、
インターネットだけではないその他のメディアともつながろうとする思い、
たとえオンラインであっても「東北芸術工科大学」という学びの場に集っている思いを、
共有する場として、「いのちの学校」を開きたい。

わたしたちは、生き続けている限り、生きることを自由に追求する場が必要であり、
生きる全体的な営みを共有する場が必要である。
2020年は「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020」が、そうした場になる。

稲葉俊郎

担当キュレーター=稲葉俊郎、岩井天志
ディレクター=岩井天志
会場設計=川上謙
宣伝美術=梅木駿佑
ビジュアルアートワーク=稲葉俊郎
撮影、編集=菊池翼、神宮巨樹、古平和弘
音響設計=市村隼人、中島寛之
植栽装飾=ハナ(菊地透・齋藤裕香子・門馬涼)
大工協力=鈴木章弘
会場制作協力=阪彩美・熊谷遥奈・佐藤光洋
配信= 菊池翼、後藤桂太郎、長谷川智之
撮影=渡辺然、布施果歩、橋本頼、吉田芽未、榊原あゆみ
機材協力=東北芸術工科大学映像学科

配信拠点=東北芸術工科大学7Fギャラリー
展開メディア=オンデマンド配信、ライブ配信、ネット販売

参加予定アーティスト

〈第一弾発表〉 青葉市子(音楽家)、akiko(シンガー/アーティスト)、池田早紀(アーユルヴェーダ カウンセラー&セラピスト)、稲葉俊郎(医師/山形ビエンナーレ芸術監督)、岩崎航(詩人)&(聞き手・岩永直子 BuzzFeed Japan News Editor)、上野雄次(花道家)、内田輝(音楽家)、OLAibi(音楽家)、勝見淳平(培養発酵宙造研究所 所長)、後藤誠二(パーソナルコーチ)、木村泰子(大阪市立大空小学校初代校長)、GOMA(ディジュリドゥアーティスト/画家)、鈴木ヒラク(アーティスト)、瀬藤康嗣(サウンドアーティスト)、鶴田真由(女優)、Le duo N'imPorte Quoi(音楽家)、遠野未来(建築家)、中山晃子(アーティスト)、成瀬正憲(山伏/採集者)、藤|||||||||||田(アーティスト)、プリミ恥部(宇宙LOVEアーティスト)、マヒトゥ・ザ・ピーポー、ミカエル・シュプランガー(AI研究者)、三原寛子(料理家/南風食堂)、村岡ケンイチ(似顔絵セラピー代表/イラストレーター)、yasuhide ono(アクセサリー作家/うつしき代表)、山川冬樹(美術家/ホーメイ歌手)、yuko morii(オーナメント)

〈第二弾発表〉 安齋伸也(たべるとくらしの研究所理事長)、ANTIBODIES Collective、池上恵一(マッサージ芸術家)、遠藤綾(やまのこ保育園 園長)、クベック雅子(ジャイロトニック® ジャイロキネシス® 認定トレーナー)、坂口恭平(料理家、作家、建築家、音楽家、画家)、佐々琢哉(料理家・音楽家)、SUIHO(国際認定フェルデンクライスプラクティショナー)、Tae Matsumura(ヨガ講師)、高野寛(音楽家)、坪口昌恭(ピアニスト)、中納良恵(EGO-WRAPPIN’ヴォーカリスト)、新関あや(ヨガインストラクター)、野村友里(eatrip主宰/料理人)、フィル・キャッシュマン(パーマカルチャーデザイナー)、マイク・クベック(プロデューサー)、マイケル・フランク(宇宙大使館)、真下武久(アーティスト)、Miki Suzuki(ヨガインストラクター)、茂木綾子(写真家/映画監督)

〈第三弾発表〉 UA(アーティスト)

キュレータープロフィール

  • 稲葉俊郎(Toshiro Inaba)
    医師、医学博士。1979年熊本生まれ。2004年東京大学医学部医学科卒業、東京大学医学部付属病院循環器内科助教(2014-2020年)を経て、2020年4月より軽井沢病院総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授を兼任(山形ビエンナーレ2020 芸術監督 就任)。心臓を専門とし、在宅医療、山岳医療にも従事。西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修める。未来の医療と社会の創発のため、あらゆる分野との接点を探る対話を積極的に行っている。
    〈書籍(単著)〉「いのちを呼びさますもの」アノニマ・スタジオ(2017年)、「ころころするからだ」春秋社(2018年)、「からだとこころの健康学」NHK出版(2019年)、「いのちは のちの いのちへ」アノニマ・スタジオ(2020年)
    〈書籍(共著)〉大友良英×稲葉俊郎「見えないものに、耳をすます ―音楽と医療の対話」アノニマ・スタジオ(2017年) など。
    webサイト:https://www.toshiroinaba.com/
  • 岩井天志(Tenshi Iwai)
    クリエイティブ・ディレクター。1971年生まれ。多摩美術大学卒業。アニメーションディレクター、映像ディレクターとしてCM、MVを制作。2011年よりアートイベントのディレクションやブランディングなどクリエイティブディレクションを行う。主な仕事に山形ビエンナーレキュレーター(2014年、2016年、2020年)、VisionVillage(韓国)のアートディレクション、イベントディレクション(2014〜2017年)、安藤忠雄『森の教会』(韓国)のアートディレクション/映像ディレクション、『熊谷和徳×高木正勝』(東京・京都ライブツアー)プロデュースなど。2018年よりサスティナブル、オーガニック、フェアトレードのコミュニティづくり『土と人』をスタートする。

プログラム

9月5日(土)

9月6日(日)

9月11日(金)

9月12日(土)

9月13日(日)

9月18日(金)

9月19日(土)

9月20日(日)

9月21日(月)

9月22日(火)

9月25日(金)

9月26日(土)

9月27日(日)

開催期間中

七つのプロジェクト

  • 土と人 2020
  • 現代山形考〜藻が湖伝説
  • 10年の器 10年の菓子
  • 山の上の陶器市
  • まちとひと
  • PINK PUBLIC PROJECT
  • いのちの学校
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