周遊型展覧会+パフォーマンス

蔵王温泉、東北芸術工科大学

「ひとひのうた」は、「一日」(ひとひ/古語)を「うた」(短歌、詩、歌…)とともにめぐるように芸術祭を鑑賞していただきたいという意図から名づけた、周遊型の展覧会とパフォーマンスのプロジェクトです。「いのちをうたう」をテーマに、一日の時間の流れをプロジェクトの構成に取り入れながら、東北芸術工科大学、蔵王温泉各所に、さまざまな表現方法による作品が展開します。
発端は、芸術監督の医師・稲葉俊郎先生による『ことばのくすり』でした。同書で稲葉先生は、「ことば」が「毒」にもなってしまうこと(「ことば」の力の悪用)の危険性について述べながら、「ことば」が「くすり」になることへの希望をこめ、こう書いています。

事実、ちょっとした文章により救われたり、生きる希望を持ったり、自分の偏った考えが更新されたりすることは、誰しも経験があるのではないでしょうか。(中略) 「あたま」に影響を与える「ことば」とは何かを丁寧に検証しながら、滋養と生命力のある「ことば」を摂取していく必要があるだろうと思っています。(稲葉俊郎『ことばのくすり』大和書房、2023年)

蔵王温泉には、山形県生まれの医師であり歌人・斎藤茂吉(1882-1953)の歌碑をめぐるルート「歌人 斎藤茂吉 蔵王文学のみち」が整備されています。蔵王連峰の最高峰・熊野岳には、斎藤茂吉が生前唯一建立を認めた歌碑「陸奥をふたわけざまに聳えたまふ蔵王の山の雲の中にたつ」(1934年)が建ち、かつてこの土地で詠まれた歌——「ことば」が、今なおこの土地に息づいていることを教えてくれます。
山形ビエンナーレ2024は、斎藤茂吉の詠んだ歌と、建立された数々の歌碑を手掛かりにしながら、現在の蔵王を歩き、めぐり、風土を体感しながら、現在のアーティストによることばやイメージ、パフォーマンスなどによって、いまを生きるわたしたちの「いのち」のありようを見つめようとするものです。
展覧会では、「未明」「朝」「昼」「夜」をキーワードとする展示が屋内6ヶ所で開催されるいっぽう、「蔵王文学のみち」にならい「蔵王うたのみち」と題する屋外での短歌・詩・歌の展示も展開。パフォーマンスでは、斎藤茂吉をはじめ蔵王にゆかりのある人々の「ことば」をたよりにしながら、まち(地域)で暮らすさまざまな人たちとの関わり、繋がり、広がりを、身体表現を通して感じたいと考えています。
そこここで皆さまをお迎えするのは、斎藤茂吉を筆頭に、美術家、歌人、詩人、音楽家、シンガーソングライター、デザイナー、ダンサーたちが、蔵王を尋ね、思い巡らせ、見出した、さまざまな「いのち」のすがたにほかなりません。

まだ見ぬ空間の未来・イメージについて
周遊型展覧会+パフォーマンス「ひとひのうた」展覧会制作ノート
山形ビエンナーレ2024総合キュレーター:小金沢智
1.未明——あちらとこちらのあわい
2.朝——生まれ、目覚める
3.朝——おはよう
4.昼——流れゆく時間
5.夜——眠り、生まれ直す
6.夜——おやすみ
蔵王うたのみち
 
 
 
 
 
会期
●展覧会
2024年9月1日(日)〜16日(月・祝)10:00-17:00
※異なる開催時間の展示、定休日のある展示があります。各展示の詳細をご覧ください。
●パフォーマンス
2024年9月7日(土)15:00-16:30、8日(日)13:00-14:30

会場
蔵王温泉、東北芸術工科大学

参加
無料

申込
●展覧会
不要
●パフォーマンス
ナビゲーターによるツアーのみ予約制(各回、定員20名程度)

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